じゅぶじゅぶと、やや粘度の高い水音が寝室に響いている。
「…ぁっ、ん、! ま、夢さ、~~~ッ」
「どしたの、香月? ……あぁ、ここは? イイ?」
「ぃ、い……っ、ひゃ、ん!」
「ふぅん、それなら何より」
「ひぁっ、! あぅ、…ッ、んん…ぅ~っ…」
夢乃舎がそう告げながら、ぐちりと香月の身体のさらに奥を開くようにすると、シーツに沈んでいる香月の身体が、快楽を拾い上げびくりと跳ねた。はくはくと動いている香月の口からは、断続的に甘ったるい声が漏れ出ている。そんな香月の姿を見ながら、夢乃舎はゆるく口の端を吊り上げた。
諸々の事情が噛み合った結果、夢乃舎は香月を定期的に抱くに至っていた。とはいえ勿論、そこには夢乃舎からの強制もなければ、非合意的な流れもない。夢乃舎自身、香月のことを気に入っているからこそ香月の身体を乱しているのだし、香月は夢乃舎からの接触――身体を暴くようなそれに拒絶も拒否も示さなかった。流石に嫌がる相手を抱く趣味はない以上、同意と合意の存在するこの関係は何ら不味いものではない。……少なくとも、夢乃舎と香月の二人の間においては、だが。
そんな夢乃舎と香月の性行為は、基本的に香月の自宅で行われていた。それは初めて行為に及んだのがたまたま香月の自宅であり、夢乃舎がその際に購入してきたコンドームを香月の自宅に置いたままにしていたから、という程度の理由だ。
だからこそ、ようやく夢乃舎の自宅へと訪れた香月が、ベッドで夢乃舎に押し倒された瞬間の表情は、夢乃舎からすれば見物だったのだが。
(なぁんで、ぼくの家だと抱かれないとか思うかねぇ)
夢乃舎は面白くなりつつも、いつものように香月の身体のあちこちを撫ぜては引っ掻き、愛撫し、抱くための準備をした上でこうして香月のナカを圧迫しているわけだが。
「ん、ぁ…っ、! ひぅ、」
夢乃舎が組み敷いた香月の身体は、いつも以上に夢乃舎からの接触に敏感に反応を示していた。夢乃舎が軽く揺さぶっただけで、香月からの締め付けは強い上にとろとろとシーツに零すそれも多い。
(……ぼくの家だから、だとすれば……可愛い反応をする)
そんな香月は当初「夢さん家、汚したくない」とイヤイヤと首を横に振っていたものの、一度夢乃舎が許可を出した上で射精したことを褒めて以降は、従順に夢乃舎からの刺激を享受している。
夢乃舎が刺激を与える度に、ぱさ、と真白いシーツに香月の紅い髪が散るのは、夢乃舎としても心地良い。服の裾から手を差し入れた夢乃舎が、香月の腹部を――挿入された夢乃舎のものを強調しなぞるかのようにぐ、と押してみれば、香月はびくとまた身体を震わせた。
「…~ッ、あぅ、…! は、ぁ、~~、ッゃ、!」
「香月、またイきそう?」
「ぁ~、…ぁ、ん、も、…っ、」
ひそ、と囁くように夢乃舎が問うてみれば、香月は声を零しながらこくこくと小さく頷く。その従順な反応に、夢乃舎は喉の奥で笑いつつ、また言葉を向ける。
「…イきそうな時、なんて言うんだったっけ?」
「……ぁ、夢さ、も、……ボク、イきそ…ッ、……ね、イかせ、て……っ」
「はい、よく出来ました」
最低限度、身体を繋げるのに必要なだけしか乱していない香月の衣服には、皺が寄っている。その上、射精で汚してもいるので、どちらにせよこの後に香月が帰宅したいというのであれば、洗濯と乾燥を待つか、夢乃舎の服を借りるしか選択肢がない。
(ま、ぼくの服着たら、それはそれで反応しそうだし。……あぁ、そこからもう一回抱いてみようか)
そんなことを考えながら、夢乃舎は香月を絶頂に導くために、律動を早めたのだった。
明燈は何?となりつづけているPL。