間は基本的に自炊をしない。単に興味がないのもあるし、自炊の労力を他のところに割きたいというのが強いからだ。そうなると、食事は外食・弁当・宅配といったところでローテーションすることとなる。そして、本日非番の間の昼食は、そのローテーションの中から宅配ピザが選ばれたのだった。
「~~♪」
鼻歌を歌いつつ蓋を開けた間の前に、出来立てのピザが姿を現す。トマトソースの上にごろごろと鶏肉が乗せられたピザは、間がよく注文しているものだ。
間が六等分にされたピースの内の一つを引っ張り、ぐ、と分けて引き抜いたピザ生地を持ち上げると同時に、上の具材がぐらりと動く。
「あっ」
気が付いた間がピザ生地の体勢を立て直すよりも早く、具材はピザ生地の上から滑り落ちてしまった。間は思わずピザ生地と滑り落ちてしまった具を交互に眺めてしまう。
「あ~……」
(いや、乗せ直せばいいだけなんだけど。見事に雪崩れたなぁ……)
暫しぼんやりとピザを眺めていた間は、少し考えこんだ後、テーブルの上に置いていたスマートフォンをもう片方の手で引き寄せ、カメラを起動させた。
『……それは分かったんだが、どうして私に送ってくるのかな?』
「悲しみを分かち合いたくて」
『ただただ、私がピザを食べたくなっただけなんだが』
「へぇ~」
『へぇ、じゃないんだよ君』
「あ、これ美味しい」
『聞いてくれ?』
ゴロゴロした具がたっぷり乗ってるピザは、基本倒壊する。