照り焼きバーガーvs間くんっ!

「……あ、」
 もそもそと昼食として買ってきた照り焼きバーガーを食べ進めていた間は、包み紙の中を覗き込んで一言だけ漏らした。包み紙の中の照り焼きバーガーは、随分とバランスの悪い状態になっていた。半分ほど残っている中の具と下のパンズに対し、上のパンズが既に尽きかけているのだ。
(ん~? 今日はいける気がしたんだけどな)
 口の端についたソースを拭き取りつつ、間は首を傾げる。別段、間はそう食べ方が汚い方ではない、と個人的には思っている。少なくとも、付き合いの長い大貫からも飲み会の場で尾北や刈野からも指摘を受けたことはないので、大丈夫な筈だ。食事の後に、皿や机がおびただしく汚れていることはなかったし。
 だが、どうにも間と相性の悪い食べ物はあるようで。ハンバーガーはその内の一つに挙げられる。具体的に言えば、上下どちらか――最大限失敗すると上下両方のパンズが中身より先に無くなるのだ。間も食べ始める前にパンズと中身の位置を調整してみたり、と色々対策は取ってみてはいるのだが、今のところそれが功を奏した試しはない。
(なんかこう、もうちょっとどうにかしたいよね……)
 間はひとまず照り焼きバーガーとは休戦することを決め、ナゲットを口に放り込み、キャラメルラテで流し込んだ。


 近くの席で同じようにハンバーガーを頬張っていた大貫が、口の中の物を飲み込んだ後に、呆れたような声で話しかける。
「間、また上のパンだけ食べ切ったのかい?」
「まだちょっとあるし」
「ちょっとってことは、食べ切りそうなんじゃないか」
「お腹に入れば一緒だから」
「この時ばっかりは屁理屈言うな、君も」
「……大貫くんが今度二郎行った時、食べたいやつが品切れしてますように」
「間、君そういうとこだぞ」

間くんは毎回律儀に「次はきちんと綺麗に食べられると思う」と信じています。(※食べられない)