「ん、ぅ…ふ、…っ」
部屋に、くちゅくちゅと絡み合うような水音が響いている。ずるずるとソファに己の体重がかかっていくのを自覚しながら、間は口の中を掻き回すようにしてくる大貫の舌に応えた。
大貫は間違いなくキスが好きだ、という確信が間にはあった。何故ならば、大貫のキスは……一回あたりがそこそこ長い上に回数が多いのである。別に大貫のキスは下手ではないし、間とてキスが嫌いなわけではない。だが、ただ単純かつシンプルに長いし多い。間としても嫌ではないから、明確に拒絶など見せていないのが良くないのかもしれない、と思わなくもない。
「んっ、…ぉ、ぬき、く……っ、ぁっ」
どうにか間は大貫の名前を呼んでみるが、嗜めるかのように軽く舌を甘噛みされ身体が跳ねる。飲み込みきれなかった唾液で既に口の周りはべたべたとしており、頭の隅がぼぅと霞むような状態で、随分とふわふわとしてきていた。
「……ん、っ」
満足したらしい大貫がようやく間の唇を開放すると、間はくたりとソファへと身体を沈める。大貫の様子は本当に満足げだ。それを見上げた間は、大きく肩で息をしつつ大貫へと話しかける。
「おーぬきくんさぁ、キス、しつこくない……?」
間がそう告げれば、大貫が一つ瞬きをする。
「え、そうかな」
「そうだよ……頭ぐるぐるする……」
「……へぇ」
間の言葉を聞いた大貫が、少しばかり口の端を吊り上げる。その声色の変化に間が反応するよりも早く、大貫が手を伸ばし間の唇をなぞった。唾液でてらてらとしている唇に触れ、そのまま指先を間の口内へと侵入させる。
「ぅっ!?」
間は流石に慌てたものの、大貫の指を噛むわけにもいかず、間がどうしたものかと迷っていると。そのまま、すり、と指先で上顎が撫ぜられた。
「んぅ…っ、」
「だって君、このあたり擦った時の反応がいいし、」
「は、ッ…~ひゃッ…、ン!」
そのまま大貫は指で間の口の中のあちこちを触っては、戯れのように軽く引っ掻いていく。その度に、間の身体はびくりと反応し、じん、と頭の芯が痺れる。間は、口の中にじわじわと唾液が溜まっていくのを自覚していた。だが、大貫の指が口の中にあるせいで、唾液が上手く嚥下出来ない。はふ、と間が吐いた息はいつもよりも湿り気が強い。
「ぁっ、! …、ぬひ、く…っ」
「だから私としては、君が気持ち良さそうなのを見てつい、長引いているところは……あったかもしれないね?」
「ふっ、……~ッぅ、」
声に緩く悦が滲んでいる大貫は、最後に間の舌を軽く指で挟むようにしてから、己の指を口元から抜き去った。大貫の指は間の唾液でてらてらと濡れている。
「納得できたかい?」
「~~~~っ」
はくり、と口が動いた間はしかし、大貫の台詞に何を返したものやら分からず、口を噤むしかなくなったのだった。
大貫くんってちゅーが長そうだし、回数も多いイメージがある。侵蝕というか。