KP : CoC KPレスシナリオ
『真実と懺悔録』
KP : あなたには誰にも打ち明けていない、もしくは打ち明けられない思いを抱えている。
それは、後悔、罪悪感、不安、寂しさ、嫉妬、はたまた誰かに寄せる好意かもしれない。その思いは無意識にでもあなたの胸の中で燻っている。
KP : 今日もまた1日が終わりを告げる。
仕事や学校生活、日常を終えたあなたはいつもの通りに床に就くことだろう。ベッドに体を預けると、ずぶずぶと疲れが体を覆い尽くす。
巡る思考が眠気を邪魔する日もあっただろうが、今日はこのまま寝付けそうだ。
梅實 史暁 : (忙しいのって良いんだか、悪いんだか……)
じわりと身体の内側から訪れる疲労感。「異能」というものが世界から無くなったとしても、犯罪が無くなるわけではない。
だからこそ、結局の所今日も仕事はそれなりにあり、こうして息を吐くような心地ではあったのだった。
梅實 史暁 : 「寝るか……」
明日も比較的早いということもあり、眼鏡をサイドテーブルに置きベッドに潜り込む。
KP : 沈む意識の中であなたはふと、渦巻く思いに体の内側からチクチクと刺されるような感覚を覚える。
この思いを口にすることが出来たなら、そんな勇気があるのなら、そう願う思いを無視するように意識を手放すのだった。
梅實 史暁 : (…………、)
ちらりとよぎった思考は無視をした。
KP :
KP :
KP : 真っ暗だった視界にふと柔らかな明かりが降り注ぐ。その突然の眩しさにあなたはゆっくりと瞼を持ち上げるだろう。
梅實 史暁 : 「……ん、」
(朝、か…?)
それにしては、と思いながらもぼんやりと瞼を開く。
KP : 霞む視界は次第に明るさに慣れていき、目の前の風景を脳が認識し始める。
梅實 史暁 : 何故か視界のピントが合っていることへの、違和感に辿り着くよりも先に。
KP : 静寂が包むそこは、広い廊だった。あなたの立つ廊の左右には長椅子が等間隔に並んでいる。
「聖堂」「教会」という名があなたの脳裏に浮かぶだろう。左右に何本もの大きな柱が列をなし、それをアーチが結び天井を作っている。天井近くのステンドグラスがはめ込まれた採光窓からは、真ん丸の月が覗いていた。
KP : あなたが自分自身を見下ろすと、寝る前の格好だろう。荷物は何も持ち合わせてはいない。
梅實 史暁 : 「……は?」
ぽかん、と自分の格好を見下ろした。何の変哲もない、リネン素材の寝間着。それに身を包んだ自分が、格好に不釣り合いな場所にいる。
否、そもそもまともに見覚えがない場所だ。
梅實 史暁 : 思わず後ろを振り向いた。
KP : 後ろを振り返ると、大きな鉄扉があった。人や獣、植物ととれる彫刻が施されている。
扉に手をかけてみるがびくともしない。奥に進むしかないだろう。
梅實 史暁 : 大きな鉄の扉が見えたことで、僅かに安心はした。出口があるなら、出ることは出来るわけだ。
しかし、押しても引いても動く様子のないそれに、溜め息を付く。
梅實 史暁 : 「進めってことか……」
露骨な誘導に感じられるが、ここに留まっていたところで何が得られるわけでもない。
梅實 史暁 : 身体の向きを建物の奥の方へと変え、そちらへと歩き始めた。
KP : 長椅子が並ぶ廊の真ん中を進むと、翼廊(よくろう)と交わる広間に出る。
この建物が十字架のような形を取っていることが分かるだろう。上を見上げれば天井は高く、ドームのようになっており、ステンドグラスから透過する月明かりが広間の中心に降り注いでいる。
KP : そして、月明かりが照らすそこには、一組の机と椅子が置かれていた。机の上には1冊の本と万年筆がある。
あなたが机より奥に目をやると、突き当たりには大きなパイプオルガンが置かれている。頭上の大きなステンドグラスには人型の何かが描かれているが、差し込む光が強く見ることはかなわない。
KP : 机はそのステンドグラスに向かうように置かれている。
梅實 史暁 : (何が描かれてるんだ……?)
ステンドグラスに描かれているものが気にかかって、目を細めてみるが、イマイチ視認出来ない。しばらく見ていると、眩しさで視界がちらちらし始めたものだから、目を逸らした。
梅實 史暁 : ぐるりと見渡すようにして、少しばかり考え込んだ。
(本があるの、あからさまなんだよな……。だが、訳も分からず他の所に行っても、結局ここに戻ってきそうじゃある)
梅實 史暁 : いかにも、といった様子で存在する本へと近付いた。
KP : 何も書かれていない白いページが多いが、一番初めのページにだけ文章が書いてある。
KP : 「かの神の下で真実を綴れ。その半生を残せ。抱える思いを告白せよ。嘘を吐く必要はない。人の子の言葉を借りるのならば、『1人の人間を自然のまったくの真実のままに描け』」
「ここに辿り着いたと言うことは、あなたには心の内に秘めた思いがあるということだ」
KP : 2ページに渡り、そう綴られていた。
あなたは何か温かいものに背を押されるように、自然とその席に着く。次の白紙のページを開くと、あなたは万年筆に手を伸ばした。
梅實 史暁 : 「……」
最初のページある文言を読み取る。強制されたわけではなく、自然に椅子へと腰掛けた。近くに置かれた万年筆をこれ幸いと手に取って。
KP : あなたの脳裏に柔らかい男とも女ともつかない声が降ってくる。
『告白の時間だ。好きに書き記せ。それがお前の人生だ』
KP : あなたは白紙のページに文字を綴る。これはあなたの秘めた思いを中心に紐解く、あなただけの懺悔録。
ここでは何を思い、感じ、書き残しても許される。それは紛れもない「真実」なのだから。
[情報] KP : 【執筆ルール】
・各質問に対して答えていってください。ログを残す際に、回答だけではなく質問も一緒に残すとわかりやすいかと思います。シナリオ内の描写は含まない方が見やすいかもしれません。
・各質問に絶対に答えなければいけない訳ではありません。答えなかったことで、クリアに影響はないです。なければない、分からなければ分からないで構いません。空白にして次に進みましょう。
・他シナリオのネタバレを含んでも構いません。その際、シナリオクリア後、ログを公開するときに、「ふせったー」や「ぷらいべったー」など、公開制限が出来るものを使用してください。
・文章でも、話口調でも構いません。何を書くのもあなたの自由です。
・告白するうちに質問の趣旨とずれてしまうことがあるかと思います。しかし、それこそがあなたの綴りたいもの。気にせず書き進めてください。ここでは何を書いても良いのです。
KP : それでは始めましょう。これはあなたの半生を、あなたの告白を中心に紐解いた懺悔録。
梅實 史暁 : 手に取った万年筆で、白い紙へインクを垂らす。
KP : ▼初めまして。あなたの名前を教えてください。
梅實 史暁 : 万年筆はあまり使い慣れていない。そのせいもあって、些かおっかなびっくりペン先を滑らせる。
『梅實 史暁』
梅實 史暁 : 「……やっぱ画数多い」
ぼそ、と言葉が漏れる。正式な書類でなければ、カタカナでぽんと書いても視認しやすい音の並びなのはいいのだが。
KP : ▼あなたはどのような人ですか?どこで生まれて、どのような幼少期を過ごしましたか?
▼両親はいましたか?どのような人たちに囲まれて過ごしましたか?
梅實 史暁 : 少しどう書いたものか考えてから、文字を書く。
『両親は健在。一人っ子。父は美術館や博物館巡りが好きだったらしいが、オレには全く受け継がれず。母はばりばり働いていた。
昔から黙ってると近寄りがたい、と少し言われる。マスク付けてる時は特に。』
KP : ▼あなたは不可解な出来事に巻き込まれた経験があるでしょう。
それ以前で、あなたの価値観や考えなどの要になったものはありますか?どんな経験や教えから来るものですか?
梅實 史暁 : (要になったもの……)
ちら、と脳裏によぎったものを振り払おうとして。嘘を吐く必要はない、と書かれていたことを思い出して、息を吐いた。
(……誰も見ないし)
梅實 史暁 : 『黒田さんの下でしごかれてる時に、色々と考え方の基盤は作られたように思う。あの人、要求レベルが地味に高いし。出来たら一応褒めてはくれるんだが。
そもそも、警察になったのはそこまで確固たる信念があったからじゃない。誰だったかに向いてるんじゃない?と言われたから、そうか、と思って試しに目指してみたら、まぁ何とか形になったようなもので。
逆にだから仕事として割り切れてる、とも言えるのかもしれなかったが。正義感だけで警察を志したやつは、途中で折れたりもしたから。』
KP : あなたは自身についてゆっくりと振り返る。
それはあなたが人として歩んできた人生だ。探索者として目覚める前の物語だ。
そして、それらはあなたが探索者として進む道を大きく左右することだろう。この意味を今は分からなくても構わない。いずれ、分かるときが来るだろう。
KP : 心当たりがあるものはこのことを思い返してほしい。あなたは探索者である以前に一人の人であることを。
何を思っても、何を感じても、ここでは自由だ。
KP : その心を、紐解いていきましょう。
KP : ▼最近、あなたは悩みや、誰にも言えない、もしくは言ったことのない感情や事実を抱えていますか?
梅實 史暁 : 「……、」
数秒ペン先が迷った。
梅實 史暁 : 『 ある』
迷いが、字のバランスを少し崩す。
KP : ▼その感情に近しいものはこの中にありますか?予想や不確定でも構いません。近いと思うものを選んでください。
(主に負の感情)罪、罪悪感、後悔、懺悔、不安、迷い、恨み、怒り、殺意、嫉妬、自信のなさ
(主に陽の感情、または恋愛感情)好意、憧れ、尊敬、信頼、欲情
梅實 史暁 : (どれだ……)
少しばかり悩む。ぱっと浮かんだのは、あの時の一連の事件の中で燻ったそれ。では、何に由来するのか、と問われれば、それは。
『不安、自信のなさ』
KP : バチリ、と、何かがはじけたように、堰を切ったように、その感情があなたの中を埋め尽くす。
例え、普段どんなに隠していても、目を逸らしていても、その感情は、自身の存在を思い出したかのようにどんどん膨れ上がっていく。外に出たいと暴れ出す。
KP : その感情を抑えようと思えば思うほど、あなたの胸はチクチクと痛むだろう。胸の内がひりつくようだ。胸が苦しい。
SAN値チェック 0/1
梅實 史暁 : CCB<=73 【SAN値チェック】 (1D100<=73) > 36 > 成功
梅實 史暁 : 「っ、」
ざり、と何かが削れるような感覚で、息が詰まる。
KP : あなたはペンを取る。ここにはあなたしかいない。何も隠すことはない。書け、と言われている。あなたは自身の思うとおりに筆を滑らせる。
KP : ▼その悩みや感情に関わる人物などはいますか?名前を挙げてください。
梅實 史暁 : 少しだけ、名前を書くのに緊張していることに気が付いた。
(どうせ見ないのに)
軽く頭を振り払い、ペン先を滑らせる。
梅實 史暁 : 『黒田勘九郎』
KP : ▼その人はどんな人ですか?また、あなたとはどんな関係でしたか?
梅實 史暁 : 『上司と部下。』
それだけ書いて、自分が書いた字を見下ろす。
「……はぁ」
上手くまとまらない思考を置いて、続きを書き出した。
梅實 史暁 : 『出世欲が強い。出してくる要求が難しいしレベルが高い、でもそれを非合理的だと思ったことはない。頭がキレる人だ。たまにその考えに追いつけない。
多分、あの時もオレが異能を発現させられたから、というのを差し引いても、使えると思ってくれたから、DAPでの観察を任せてくれた……のだと思う。』
KP : あなたがその人物について綴ると、あなたは自然とその人物を思い浮かべていることだろう。
あなたはそれに胸が締め付けられるだろうか、それともちょっぴり胸が温かくなるだろうか。
尚もペンは走る。
KP : ▼その感情を抱くようになったのは、自覚するようになったのは、いつ頃からですか?きっかけになった出来事はありますか?
▼あなたは何故、その人物に、その感情を抱いているのですか?どんな理由がありますか?
梅實 史暁 : ペンが、迷う。今まではまとまった文章として書けていた筈の文章が、上手く組み立てられないような感覚。
「……」
浅く呼吸をして、それでもペンが字を書き出す。
梅實 史暁 : 『失望した、と言われたのが思ったよりショックだった。頭の片隅で、DAPとして動くための理由付けを貰ってるのだろう、と思っていたのに。』
『そもそも、あの時。浅倉チーフに"もういい"と告げて、オレを呼んだ時に。』
梅實 史暁 : 『……優越感が』
梅實 史暁 : 『オレの方が使えると思ってもらえたから呼ばれた、と、思って。別に浅倉チーフのことが嫌いなわけじゃない。あの人はあの人で随分と真面目でまっすぐとしていて、良い人だなと思っていた。上司として慕うには申し分ないだろうな、って。
オレには既に違う人がいただけで。』
梅實 史暁 : 『あの人に信頼される部下でありたい』
梅實 史暁 : 『仕事を任されると、出来ると思ってもらえてる気がして、嬉しいから、』
KP : また、ぶわりとその感情が大きくなる。
あなたがその感情を抱くのは、こうすべきだった、こうあるべきだった、こうであってほしかった、そのような理想と離れてしまっているからだろうか。
書き綴ったあなたはその事実を認めなければならない。
ショックがある・認めたくない探索者のみSAN値チェック 1/1d3
梅實 史暁 : CCB<=73 【SAN値チェック】 (1D100<=73) > 54 > 成功
system : [ 梅實 史暁 ] SAN : 73 → 72
KP : ▼それは何故起こったのでしょうか。努力すれば回避出来るものでしたか?望んだものでしたか?
▼何故回避出来なかったのでしょうか。または、何故それを望みましたか?
梅實 史暁 : 『何故、の一番きっかけの始まりは柏木だったのだろうけれど。回避出来たのか?オレ一人で出来たとは思えない。
色々なものが絡み合った結果、あぁなったのだろうし。でも、比較的最善は尽くせたと思っている。』
KP : ▼あなたがその悩みや感情を抱いている要因はなんでしょうか。あなたのどの価値観や信念、考え、過去の体験に関わりますか?
梅實 史暁 : 「要因……?」
思わず言葉が出る。どう書くべきかペン先が揺れた。
梅實 史暁 : 『思い当たらない』
そう思った理由はさておき、そう思うに至った理由となると、上手く自分の中からは探し出せない。
KP : その価値観や過去の体験はあなたを苦しめるものだろうか、それとも、あなたの支えになるものだろうか。
どちらにせよ、その事実は紛れもなくあなたの人生の一部だ。それがなければ、あなたはこのような悩みや感情を抱かずにすんだのかもしれない。しかし、それはあなたをあなたたらしめる由縁だろう。
あなたの中に強く根付いているものなのだろう。
KP : それは歪んだ認知ではないだろうか。視野は狭くないだろうか。いつだって己を許すのは己自身である。あなたはそれに気がついているだろうか。
それに気がついて尚、突き進む者には勇気が、それに気がついて道を正せる者には幸福が訪れますように。
KP : ▼きっかけになる出来事に対してどうなって欲しかったと思いますか?もしくは、現状でどうなってほしいと望みますか?
梅實 史暁 : 『失望されたくなかった、』
梅實 史暁 : 咄嗟に書いた文字が消せないことに思い至って、少し呻く。導かれるようにぼろぼろと書いてしまっているそれを、直視するのは恥ずかしい。
梅實 史暁 : 『信頼されたい、使える部下だと思われたい、あの人から見えている世界の一端でもいいから理解したい』
KP : ▼その為にはあなたや誰かが何かをする必要がありますか?こうしたい、こうしてほしいという願望でも構いません。
梅實 史暁 : 『任された仕事を頑張る』
「……標語か?」
書いてみてから、思わずそんな言葉が零れた。まぁ、黒田から使えると思ってもらうためには仕事が出来るのは前提条件なのだし。いいか、と思い直す。
[雑談] KP : 思ったより秘匿バラしタイミングの「こっちに来い」を喜んでいるし、思ったより「失望した」に引っかかってショックを受けてることが分かって、「そう……」と鎮痛な表情を浮かべるPL
KP : あなたは苦しくても、恥ずかしくても、筆を止めることは出来ない。ここではその必要もない。
どんなに醜く汚い願いでも、それはあなたが思い感じていることだ。それを否定する者などいない。あなた自身も否定しなくて良いのだ。それが「真実」なのだから。あなたが思い感じていることは、変えようのない事実だ。
KP : ▼それは何故実行出来ずにいますか?
梅實 史暁 : 「……」
また少し迷ってペン先が動いた。
『オレの動きが、黒田さんの希望に足るものとは限らないから』
KP : 今より少し息がしやすくなるためにはどうしたら良いだろう。あなたはその方法に気がついているだろうか。それは絶対に実行出来ないものだろうか。それとも、してはいけないものだろうか。
他者に許されたいと願う者は、許された自分を許しているのだろう。他者に慰められても後悔ばかり残る者は自分を許し切れていないのだろう。
KP : いつだって、己を許すのは、己自身である。その事実は忘れてはならない。
KP : 前を向かないと見えないものがある。下を向いてばかりでは、後ろを振り返ってばかりでは、気がつけないことがある。事実を認め、「真実」を受け入れる必要がある。真実は決して変えられない。ありのままに受け入れ、認める義務がある。
KP : あなたは筆を置いた。あなたが何を思ったか、それはあなたしか知らない真実なのだろう。
お疲れ様です。ありがとうございました。
KP :
KP : あなたが全てを綴り終えると、再びあの男とも女ともつかない中性的な声が降ってくる。
KP : 『真実に生きよ。美しくも悲惨な真実から目を逸らすな。自身の「真実」と向き合った者に褒美をやろう』
『お前はその真実を、伝えたいと願ったか?忘れたいと願ったか?』
梅實 史暁 : (……伝える?)
一瞬ばかり、硬直する。伝えるとしたら、それは当たり前だが黒田に自分が考えていたことが分かるということだ。
梅實 史暁 : それは、ひどく、何か、みっともないような。そんな心地で、視線がうろつく。
(だからといって、忘れたいわけじゃない……)
思ったのは事実だし、仮に忘れたとてまたどうせ沸き起こることだろう。
梅實 史暁 : 伝えるの忘れるのも嫌だった。だから、本を閉じてしまおう。
KP : どちらもしたくない、または成り行きに任せたい探索者は、そのままこの本を閉じる。
KP : あなたは筆を置いた。あなたの胸の中にはやり遂げた達成感のようなものが沸いていることが分かる。
少し疲れただろうか、それとも満ち足りた気持ちだろうか。あなたは確かにここに自らの半生を記した。それが誰かの目に晒されるか、それともこの空間に、この本にひっそりと存在し続けるのかは、あなたは知ることは出来ない。
KP : それでも、あなたは、本を閉じた。破り捨てることも、誰かに届けることも、忘れることもなく、あなたはその本を閉じた。あなたの半生は確かに存在している。
それが醜いものであろうと、美しいものであろうと関係ないのだ。あるがままに存在している。その事実があるだけで十分である。
そっと瞼を閉じると共に、あなたの意識は闇に飲まれた。
梅實 史暁 : なんとなく、疲れていた。だから、そっと目を閉じて、身を任せる。
KP :
KP : 朝日が差し込む部屋であなたは目が覚める。あの生々しさが夢ではないことを告げている。あなたは確かに存在している。あなたの悩みや感情や考えは、あなたと共に存在している。その事実を受け入れ、認めることは出来ただろうか。
あなたはまた日常へ戻るのだろう。
梅實 史暁 : 「……」
ぼんやりと目を開けて、見えたのがただの自室の天井だったことに、少しだけ息を吐いた。
梅實 史暁 : (今日も仕事だ)
書いた内容をゆるやかに、蓋のついた箱にしまうような心地で、起き上がったのだった。
KP : END3
異能警察本編で黒田さん相手に「何よ!!!!!」となったのもあり、ちょっと対話させるか~と放り込んだのでした。